極楽とんぼ山本の不祥事で「欽ちゃん球団」が解散との報道について、Monaghan氏のところで盛り上がってまして、そちらにもコメントを書きましたが改めてエントリを。

「ほぼ日」の連載を読んでいたときの個人的な思いとしては、萩本氏の野球に対する思いというものが、例えば糸井氏とか徳光氏（彼は野球というより巨人かな）のソレとは 少し異質なように感じていた。
言い方が悪くて語弊がありますが「見返りを求めない愛情」というより「計算」のようなものが見えてると言うか。でも“金儲けが目当て”というのとも違って...やはり「道楽」という言葉が一番しっくりくるかな。

ただ、解散会見での萩本氏の発言を見た印象で（会見の映像は見ていません。見たらまた印象変わるかも）、今はちょっと考え方が変化した。
今回の決断は“いいタイミングだから、辞～めた”という「計算」というより、「今後やると言っても、やめると言っても迷惑が掛かる」と言うように、あまりにも多くの人を巻き込んでしまった現状では事態を丸く治める術などなく、今後の責任が取れないんであれば、辞めるしかないという心境なんではないかというのが、今のワタシの勝手な推測。


これが例えば、ソフトバンクや西武ライオンズなどのチームの主力選手が起こした事件であれば、やはり大きなスキャンダルにはなりえるが、球団の解散などは選択肢にも挙がらないだろう。実際、Ｊリーグでも最近「選手が見知らぬ女性の部屋に不法侵入し、起訴される」といった不祥事が起こった。その選手は当時のチームを解雇されたが、他のチームが拾って今も現役で試合に出ている（この不祥事は飲酒後の酩酊によるもので情状酌量の余地があり、不起訴となったケースだが）。

では今回の件も「山本をクビにして終わり、でいいじゃないか」という意見もあると思う。しかし今回注目すべきは「稲敷市との徹底した地域密着」という点ではないかと思う。同時に、他の球団と決定的に異なる点である。


稲敷市と「欽ちゃん球団」は非常に近い距離にある。
例えば球団ロゴなどの版権も事実上フリーにして、“地元の佃煮にも、ゴールデンゴールズのパンダが貼ってある”なんていう状態。本来はロイヤリティを支払わせて球団の利益にするところを

「みんなでたのしく そういうもので商売してみなよ」
「うんと、もうけてもらって、もうけたら、その時は、ちょっと、ちょうだいね！」

という方針で進めてきた。
今回も稲敷市や つくば市から、「やめないで！」と大量の署名が集まっているというが、実際にロゴ入りの商品を開発した店舗などにとっては、死活問題に直結する話だろう。もちろん、「利害関係なんて考えずに応援したい」という気持ちの大きさも伺える。

この事件で大きく変わったものは、その「地域との結びつき」ではないだろうか。

実際にあったかどうかわからないが、「欽ちゃん球団が、地元の少年少女に野球指導。山本も参加」なんてイベントが過去にあったりしたら、そこに参加していた少女の親は、今回の件をどう受け止め、子供には何と説明するのだろうか。
今回の淫行（暴行については、事実かどうか曖昧）は山本一人の犯行だが、他の選手も「未成年と知りながら酒を飲ませる」という行為には関わっている。となると今後、地域の目には「ひょっとしたらあの人も...？」という猜疑心が混ざることになる。それが僅かでも。

地域と球団の信頼関係にヒビが入ってしまった状態では、目指していた地域密着路線が空虚なものになる。今後の球団の方向性を、完全に見失ってしまったのではないか？


それとは別の側面として、企業と地域というより「萩本氏個人と地域の個人の結びつきが強くなりすぎちゃった」のが原因、という面もあるんではないか。例えばワタシなら、家族が犯罪を起こした後も、変わらず近所づきあいが出来る自信はない。
萩本氏の会見でも、山本の罪を責めてはいるが、「山本、球団なくなったよ。あいつ、選手、面倒見てくれて…。９９％バカって言いたいけど…あーわかんない」など、どこかで擁護したいという意識が見えている。選手に対して「身内」という意識があるんじゃないだろうか。「身内」の起こした犯罪だからこそ“世間に顔向けできない”し、路頭に迷うかもしれない無関係の選手たちもまた「身内」だから責任は連帯する、というか。

なんか、「地域密着型」と「企業資本型」の違いについて書こうと思ったんだけれど、最後にふと思った「身内だから」って方がそれらしい気がしてきた。

ぜんぜんまとまりのない文章ですが、とりあえず今の雑感ということで。